猫の白血病は、猫白血病ウィルス(FeLV)が原因です。
ただの白血病ウィルスではなく、「猫白血病ウィルス」といわれるごとく猫の間のみで感染が成立するため人間には移りません。
猫白血病ウィルスに感染している母猫から生まれた仔猫のように生まれながらにして猫白血病に感染している猫もあれば、成長過程において猫白血病ウィルスに感染している猫に接して感染してしまう場合もあります。
従って、どの年齢でも猫は猫の白血病ウィルスに感染する可能性があるということです。
主に重大な症状として「貧血」や「悪性リンパ腫」が挙げられますが、免疫力が下がるため「口内炎」や「元気が無く食欲が減ってきた」など猫風邪にも見られるようなさまざまな症状が現れます。
診断は、猫の白血病ウィルスに反応する検査キットがありますので血液検査で診断は可能です。
猫白血病に感染しても発症しなければ(無症状であれば)あるいは、白血病に罹っている(感染している)かどうかの猫は検査すらせずに、白血病に感染していることに気が付かず一生を終える猫もいます。
当記事では、猫の白血病についての「症状」や「感染経路」「治療法」のほか、どのようなときに猫白血病の検査をする場合が多いのか(患者さんから希望されて白血病の検査する)など日頃の診療状況からの情報を紹介させて頂きたいと思います。
ぜひ、最後までご一読ください。
猫の白血病の症状はさまざまあるが貧血やリンパが腫れて検査されることが多い
猫の白血病の症状は「口内炎」や「下痢」「腎臓病」その他、さまざまです。
一般的に、動物病院で診察を受けても上記のような初期症状で猫の白血病を疑って「猫白血病ウィルス」の感染検査することはまずないでしょう。
しかし、輸血が必要なほどの「重度な貧血」や「リンパ節の腫れ(悪性リンパ腫)」などがある場合は「猫白血病」が原因で死に至るケースが多く認められるため、「猫白血病ウィルス」に感染しているか否かの検査診断がなされるのではないでしょうか。
重度な貧血は輸血しなくてはなりませんし、悪性リンパ腫の場合は抗がん剤治療となるでしょう。命に関わる症状です。
貧血の原因が「寄生虫」によるものか「白血病」が原因なのか「造血機能」に問題があるのかなど、早急に突き止める必要があります。
猫の白血病の診断方法は血液検査である
猫が白血病に感染しているかどうかは、血液検査で10分ほどで診断できます。
猫白血病の検査はなんらかの症状を示している猫だけでなく、無症状であっても新しく猫を迎え入れる場合、先住猫が猫白血病に感染しては困るため検査を希望される飼い主さんも多いようです。
残念なことにというより仕方ないことかもしれませんが、猫白血病ウィルス(FeLV)が陽性反応を示した場合、先住猫がいるご家庭では猫白血病に感染している猫は受け入れられたいことが多々あるように感じます。
なぜなら、猫が白血病を発症して「貧血」などの命に関わる症状を起こしてしまうと数か月~3年以内に死亡してしまうからです。
貧血を起こして輸血をしても、数か月するとまた貧血を起こす可能性があります。
そしてまた輸血をするということを繰り返した結局、猫そのものに体力や精神的に負担をかけて治療したにもかかわらず治らずに死亡するケースがほとんどなのです。
一方、白血病に感染しているのか否か検査をしてマイナス(陰性)だった猫を1ヶ月後にもう1度検査をしたところプラス(陽性)反応が出てしまいました。
このことについて、猫白血病の検査キットを販売している製薬会社に問合せしてみました。
結果、次のようなご回答を頂きました。
↓
感染してから数週間から1~2ヶ月経って、末梢血(注射器で採血して得られる血)に白血病ウィルスがようやく出てきて初めて検査結果に反応するとのことでした。
よく猫白血病検査結果証明書に、1回目・2回目(再検査)の日付と検査結果が表示されているのはそういう理由なのですね。
猫の白血病はどこでどのように感染するのか
母猫から胎盤感染といって、お腹の中ですでに感染してしまったり生まれた後に母乳を介して感染するなど垂直感染といわれる感染経路があります。
猫白血病に感染したお母さん猫から生まれた(同腹兄弟姉妹)でも、白血病の検査をすると全ての同腹猫が感染するということでもないようです。
同じお母さん猫から同時に生まれても、何匹かの猫は猫白血病は陰性(マイナス)で感染が認められず、何匹かの猫は猫白血病ウィルスが陽性(プラス)で感染してしまっているという事態もしばしばあります。
エイズのお母さんから生まれた兄弟姉妹が、生まれながらエイズになっている子もあればエイズに感染していない子もあるというような場合と思って頂ければわかり易いのではないでしょうか。
それでは、猫白血病に感染せずに生まれてきた猫はどこでどのように感染するのでしょうか?
それは、猫白血病に感染している猫と接触することで感染します。
猫白血病ウィルスは猫の唾液をはじめ体液に含まれているといわれていますので、多頭飼いをされている場合は要注意です。
具体的な接触とは、
- グルーミングでお互い舐め(なめ)合う
- 同じ食器でフードや水を飲む
- トイレが一緒
- 喧嘩(けんか)などで咬(か)んで出血する
- 交尾をする
などが挙げられます。
このような感染理由から先住猫がいる場合、猫白血病ウィルスに感染している猫は里親に迎えられないケースが多いということも納得できますね。
猫の白血病は治療すれば治るの?
猫白血病ウィルスに感染し、症状を示した場合ほとんどが死亡します。
致死率が非常に高い病気です。
治療方法は、対処療法になります。
- 食べなければ点滴をする
- ステロイドを使用する
- リンパが腫れているなら抗がん剤を使うこともある
- 重度の貧血なら輸血をする
- インターフェロンを使ってウィルスの増殖や活動を抑える
- 二次感染を抑えるために抗生剤を使う
- 下痢や吐き気など症状に合った薬で対応する
など、これ以外にもとにかくその時の症状に合った治療を試みることになるでしょう。
まとめ
猫の白血病の症状は「口内炎」や「下痢」などさまざまですが、「貧血」や「悪性リンパ腫」など致死率の高い重度の症状を発症することがあります。このような症状を示すとまず完治することはありません。
原因は、猫白血病ウィルスによる感染です。
猫白血病ウィルスですので人間には感染しません。
診断は、猫白血病ウィルスを検出する検査キットがあり血液検査で10分ほどで結果が分かります。
感染経路は猫どうしの接触です。
具体的には、
- グルーミングでお互い舐め(なめ)合う
- 同じ食器でフードや水を飲む
- トイレが一緒
- 喧嘩(けんか)などで咬(か)んで出血する
- 交尾をする
などが、考えられます。
治療は、次のように症状に対処療法を施すことが一般的でしょう。
- 食べなければ点滴をする
- ステロイドや抗がん剤を使用する
- 貧血なら輸血をする
- インターフェロンを使ってウィルスの増殖や活動を抑える
- 二次感染を抑えるために抗生剤を使う
- 下痢や吐き気など症状に合った薬で対応する
などです。