犬のかゆみの原因はさまざまで、中には複雑すぎて原因がわからない皮膚のトラブルもあります。
「愛犬がなんか最近、後足で体をかく場面をよく見るな」と思っていたら、いつの間に赤くなっていて皮膚が傷ついていた、ということもしばしばです。
犬がかゆがる原因をすべて挙げることはできませんが、当院へ来院される患者さんに多く見られる以下4つのかゆみの原因をご紹介したいと思います。
- ノミやダニなどの寄生虫によるかゆみ
- アレルギーによるかゆみ
- 細菌や真菌(カビ)によるかゆみ
- 免疫系やホルモン分泌異常によるかゆみ
試しに市販のムヒなどの人間用の塗り薬で様子を見られる飼い主さんもいらっしゃいますが、皮膚炎の原因を無視してかゆみを止めてしまうことで逆に皮膚炎を悪化させることもあります。
ぜひ、最後までご一読ください。
犬のかゆみの原因はノミやダニなど寄生虫の場合がある
犬がかゆがる原因が寄生虫である場合があります。
ノミが寄生して痒がる場合がある
犬がかゆがるので背中の毛を分けてみるとノミが寄生していることがあります。しかしながら、ノミアレルギーの無い犬はノミが数匹寄生してもかゆがらないこともあるので注意しましょう。
なぜなら、犬は無症状でも飼い主さんがノミに刺されて痒く(かゆく)なって初めて犬にノミが寄生していることに気付くこともあるからです。
逆に、ノミアレルギーのある犬は1匹でもノミがいれば異常にかゆがりノミアレルギーの犬の多くは腰の辺りが赤くなり激しくかゆがって脱毛して瘡蓋(かさぶた)のようにブツブツになることもあります。
散歩などで外に出る機会が少なくとも、人間が靴の裏に着けて来た土に玄関でノミが発生することもありますので、ノミに感染する前にぜひノミの駆虫薬を犬につけてあげてください。
ヒゼンダニが寄生して痒がる場合がある
疥癬症と呼ばれてるヒゼンダニによる皮膚炎です。
主に耳や胸からお腹、肢などに「激しいかゆみ発赤」「脱毛やかさぶた、フケ」などその他の症状が出ます。
肉眼ではヒゼンダニは見えません。
疥癬症に感染している犬に接触することで感染してしまいますので、皮膚を痒がっている犬やよく体をブルブル振っている犬には近づかないことが予防法といえます。
ドッグランなど、他の犬との接触が考えられる場所には注意しましょう。
毛包虫(ニキビダニ)が寄生して痒がる場合がある
毛包虫(ニキビダニ)症はアカラスとも呼ばれていますが、正常犬の3割から4割に感染しているといわれて免疫系が関与しておりかゆみの症状が出ない無発症の犬も多くいます。
しかし、発症してしまうと顔から全身に発赤し激しいかゆみが出てしまうのが特徴です。
ひどくなる前に、早めの受診がおすすめです。
犬のかゆみの原因が何のアレルギーなのかわからない
犬のアレルギーと一言でいってもいろいろなアレルギーがあるのです。
- ノミアレルギー
- 食餌アレルギー
- 花粉やハウスダストなどの粉塵アレルギー
- 接触性アレルギー
など、上述のノミアレルギーのように目で発見できるものもあれば、検査に検査を重ねて結局わからずハウズダストによるアレルギーと診断されてしまう場合も多くあります。
犬のアレルギー検査で細かく細かく検査を進めて行くと検査代だけで3万円以上になることもあるため、正直犬のかゆみのアレルギー検査は患者さんに勧めづらいのが現状です。
その後、飼い主さんと相談しながら飲み薬の継続や処方食(食餌療法食)、サプリメントなどで調整してほとんどかゆみは止まるので今のところこのやり方で問題ないとしている次第です。
犬のかゆみは細菌や真菌(カビ)でも起こる
細菌(雑菌)や真菌(カビ)は常在菌で、私たちの生活の中で常にある身近でいつも接している菌です。
例えば犬の皮膚病で掻(か)いたりすることで皮膚が傷付き、ジュクジュクした皮膚に細菌感染するとかゆみが出ます。
また、真菌(しんきん)感染の場合はかゆみが無いことがほとんどです。真菌はストレスや病気、高齢などで免疫力や体力が落ちていると感染しやすい傾向にあります。
真菌(カビ)が原因の場合、湿疹が大きかったり或いは脱毛だけでかゆみがそれ程ないこともありますので、様子を見ずに早めに受診しましょう。
早めの処置(抗生剤や抗菌剤、専用シャンプーなど)であればひどくなることもなく、治りも早いです。
犬の身体だけでなく、耳や指間のかゆみも細菌や真菌が原因のことが多いのですが残念ながら耳や指間のかゆみは繰り返される傾向です。
真菌症は、体力の弱いお子さんやご高齢者の方など真菌症の犬に接触することで移ることがありますので注意が必要となります。
犬を飼っていて、人間に皮膚の異常が出たときには皮膚科の病院を迷わず受診した方がよいでしょう。
犬のかゆみの原因が体質や遺伝によることもある
犬のかゆみの原因が免疫系に関わる場合やホルモンの分泌異常の場合は皮膚炎だけでなくその他にも症状を起こす特徴があります。
例えば、多飲多尿であるとか心拍数に異常があるとかです。その他、日ごろから落ち着きがない、逆にいつも沈鬱(ちんうつ)状態などがあげられます。
犬が痒がっているときは体質や遺伝による発症も考えられますので、しばらく様子を見ずに検査をした方がよいでしょう。
なぜなら、免疫系の皮膚炎は高価な薬を半永久的に飲まなくてはならないため、飼い主さんに検査の結果をしっかり提示して納得して頂く必要があるからです。
診断の結果、免疫系の皮膚病は薬が高価なため症状が落ち着くと獣医師に相談なく勝手に投薬をやめてしまう飼い主さんが時々いらっしゃるのが現状です。
再発したときにはまた初めから薬の量を調整し直し治療に時間がかかったりすることともなりますので、疑問や不安があるときには獣医師に質問や相談をしましょう。
獣医と充分に話し合って、途中で勝手に投薬をやめないことが必須となるのが免疫系やホルモンによる皮膚のかゆみであることを覚えておいてください。
どちらも継続的な投薬が必要です。
まとめ
犬のかゆみの原因はさまざまであり、すべてを提示することはできません。
そこで、当院で多く見られる犬のかゆみの原因4つにしぼって紹介します。
- ノミやダニなどの寄生虫
- 食物や環境によるアレルギー
- 細菌や真菌(カビ)
- 遺伝やホルモン分泌異常
皮膚病は悪化すると細菌の2次感染して治りにくくなります。
犬がかゆがっていたら、まずは動物病院に受診しましょう。
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