猫がエイズに感染してしまったらどうなる?猫免疫不全ウィルス(FIV)と付き合う方法とは

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「猫エイズ」はよく聞かれる言葉ですが、「猫免疫不全ウィルス(FIV)」の感染によって引き起こされる猫のウィルス感染症のことです。

すなわち、猫エイズ=FIV陽性と思って頂くと解りやすいのではないでしょうか。

猫同士の間でのみ感染が成立するので他の動物や人間にはうつることはありませんが、ネコ科のトラやヒョウなどにはうつるといわれています。

猫エイズ(免疫不全ウイルス(FIV)感染症)は、免疫不全症といわれるように免疫系がおかされて免疫力が低下してしまう病気です。

例えば、皮膚炎を起こしてなかなか治らずフケがずっと続いたり、風邪を引いて治らずに悪化して肺炎を起こしてしまったリというようなことが起こります。

猫免疫不全ウイルス(FIV)感染症の感染防止法としては、完全室内飼いがよいでしょう。
なぜなら、猫同士のケンカが一番の感染経路だからです。

一方、たとえ猫がエイズに感染しエイズウィルス保有個体(エイズキャリアと呼ばれている)となってしまっても発症せずに無症状で、何事もなく普通に生きている猫もいることはご存じですか?

猫エイズは、5段階の進行ステージがありますが、正直獣医であってもそのステージをぴったり当てはめることは困難です。

なぜなら、その猫をずっといている訳ではないからです。患者(人間)さんに「いつからこのような症状を示しているのですか?」と「その前には一切このような症状はなかったのですか?」と質問しても正確なご回答を頂くことがまずないからです。

そのようなステージにこだわることなく、当記事では、猫免疫不全ウイルス(FIV)感染症の感染経路や症状についてわかり易く説明しています。

ぜひ、最後までご一読ください。

猫のエイズは主に猫同士のケンカで感染する

猫のエイズ(免疫不全ウイルス(FIV)感染症)に感染している猫に咬まれると感染してしまいます。
特に去勢していないオス猫は縄張り争いなどでケンカをするので、感染してしまう可能性が高いといえるでしょう。

当院でもノラ猫の去勢手術のとき一緒にエイズ検査を希望される方がいますが、5kg以上あるような大きなオス猫で身体のどこかに傷がある場合、大体80%以上が検査の結果エイズ陽性であるように感じます。

この80%という数字はしっかりした統計を取ったわけではなく、あくまでも日頃から去勢手術とエイズ検査をしている私個人の肌感覚です。

その他、子猫のときに保護された猫をエイズ検査をしたところ陽性に出たこともありました。

これは母猫がエイズに感染している場合で、生まれてくるときすでに母猫のお腹の中で感染したものと思われます。

すなわち、垂直感染もあるということです。垂直感染とは、母猫の胎盤や母乳などで感染する場合のことです。

同腹の子猫であっても、エイズに感染している子猫と感染していない子猫がいます母猫がエイズだからといって兄弟姉妹の子猫がすべてエイズに感染してしまうということではありません。

猫がエイズに感染したらどんな症状を示すの?

これといった決まった症状はありません。

元気が無かったり食欲減退、発熱することもあります。しかしながら、これらの症状から「猫免疫不全ウイルス(FIV)感染症」検査をしましょう」という動物病院はまずないでしょう。

なぜなら、このような「食欲減退」「発熱」はどのような病気でもあり得る症状だからです。
猫を飼われている方であれば、ご経験ありますよね。

猫免疫不全ウイルス(FIV)感染症は、リンパ(あご・わき・股間・膝の裏)の辺りが腫れてきたりすることがあります。

その他、

  • 口内炎が治らない
  • 風邪症状が治らない
  • 下痢や嘔吐など続く
  • 皮膚病が治らない

など、さまざまです。

とにかく、免疫力がなくなるため治す力が無いに等しいと思って頂ければご理解して頂けると思います。すなわち、猫のエイズは治らないと思ってください。

心当たりがある症状であれば、ぜひエイズの検査を獣医師に申し出ることをおすすめします。

獣医師の立場として、このくらいの症状で検査をしましょうとは言いにくいところが正直ありますので、患者さんの方から検査をして欲しいといって頂けるとありがたいです。

猫のエイズは治療すれば治るの?

猫のエイズ(免疫不全ウイルス(FIV)感染症)に猫が一旦感染してしまうと、完治はありません。
そのときの症状に対する対症療法になります。

例えば、風邪のような症状であれば風邪の処置になりますし、皮膚病であれば皮膚病の治療をするということです。

前述した通り、このくらいの症状で「エイズの検査をさせてください」とは獣医師の立場からは言いにくいので「もしかしたら…」と心当たりがあるときは検査をお申し出ください。

なぜ、動物病院側から猫のエイズ検査を申し出にくいかというと、一般の症状だけで検査をすると陰性であることが多いからです。
また、たとえ検査結果が陽性であっても対症療法になるので治療法はほとんど変わりません。

ですが一方、症状が初期の頃にエイズに感染していることがわかればインターフェロンなどを使ってウィルスの増殖や活動を抑制することによって重症化することを事前に防げる可能性があります。

多頭飼育されている方であればエイズの感染猫を隔離をして飼育することで、他の猫にエイズをうつす防止策をとることにもつながるでしょう。

なので、是非ぜひ「もしかしたら…」と思ったときにはエイズ検査をお申しで頂けると動物病院としてはありがたいです。

猫のエイズ(免疫不全ウイルス(FIV)感染症)は完全室内飼いが何よりの予防法である

エイズには、ワクチンがありますが製薬会社からの提供が不安定という問題があります。
ワクチンが足りなくなってしまったことがあるからです。

そのため、3週間ごとに3回接種するとことができないという状況が過去に発生しました。

また、無事に3回接種できたとしても猫免疫不全ウイルス(FIV)感染症の抗体が約50%しかできないと製薬会社の説明を受け、当院では猫エイズのワクチンは扱っておりません。

その後も製薬会社からの猫エイズワクチンの販売促進は一切ありませんでしたし、今現在もありません。

徹底して猫が免疫不全ウイルス(FIV)感染症に100%感染しない方法は、エイズに感染した猫「キャリア猫」と接触しないことがすべてといっても過言ではないでしょう。

すなわち、猫を完全室内で飼うことです。
患者さんの中には、猫の自由を保つため猫ドア(窓)を作って猫が24時間自由に家と外を行き来できるようにしている方がいらっしゃいます。

これではいつか猫が襲われて、免疫不全ウイルス(FIV)感染症に感染してもおかしくありません。
猫は一度外の世界を知ってしまうと外に出たがってしまうため、猫にリードを付けてお散歩している方もたまにいらっしゃいますがおすすではないです。

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まとめ

猫が免疫不全ウイルス(FIV)感染症(エイズ)に感染する主な感染経路は、猫同士のケンカです。去勢をしていないオス同士の縄張り争いが最も多いとされています。

猫免疫不全ウイルス(FIV)感染症に感染している猫との接触を避けることが最もよい感染予防法になります。

感染しないようにするためにはワクチンもやや有効ですが、何よりも完全に室内飼育することで外猫との接触を避けることです。

猫の行動の自由を考えることはわかりますが、外の世界を知らない猫をわざわざ外に出す必要はないように個人的には思います。

外猫との接触を避けることで命に関わる病気を回避することができるのです。

猫免疫不全ウイルス(FIV)感染症は、決まった症状はありませんが、

  • 口内炎が治らない
  • 風邪症状が治らない
  • 下痢や嘔吐など続く
  • 皮膚病が治らない
  • リンパ節が腫れている

などの症状がある場合は、免疫不全ウイルス(FIV)感染症の可能性があります。

治療はそのときの症状に応じた対症療法になりますが、一度、免疫不全ウイルス(FIV)感染症(猫エイズ)に感染してしまうと完治はしません。