猫は10歳以上になると甲状腺機能亢進症になる可能性が高まります。もちろん若くても罹(かか)る可能性はあります。
猫の甲状腺機能が亢進すると、どのような症状を示すのでしょうか。
答えは、全身の代謝促進ホルモンですので交感神経が刺激されて積極的な行動を起こしたり、興奮状態を示す行動をとります。
当院の患者さんの主訴(うったえ)で「すごく食べるのに痩せてきた」「朝早くからご飯を欲しがって鳴いて、与えないと胃液を吐く」などの症状のほとんどの場合、検査をすると甲状腺機能亢進症と診断される場合が多いです。
ぜひ、最後までご一読ください。
猫が甲状腺機能亢進症になると次のような症状を示します
猫の甲状腺ホルモンが異常に分泌され甲状腺亢進症になると全体的に興奮状態になり、以下のような症状を起こします。
- 食欲があってすごく食べるのにやせてきた
- ごはんを欲しがって与えないと吐く
- よく吐く
- 落ち着きがなく、攻撃的
- 多飲多尿
- 胸の辺りの鼓動が速い
などです。
猫の甲状腺機能亢進症の原因は何?
猫の甲状腺亢進症の原因は、はっきり解っていませんが下記のようなことが考えられています。
- 甲状腺の腫瘍
- 甲状腺刺激ホルモンの放出する命令を出す脳の下垂体部分の異常
- 遺伝や免疫系が考えられる
などです。
猫の甲状腺機能亢進症は治療できる
猫の甲状腺機能亢進症の治療には手術によって甲状腺を取り除く方法があります。
それでは、外科的に甲状腺そのものを摘出しない方法を考えてみましょう。
甲状腺ホルモンの分泌を抑える薬がある
ですが猫が薬を飲んでくれることが大前提となることと共に、どの位猫の体の中に薬物が停滞しているのかを血液検査で定期的に検査をする必要があるのです。
この治療法は、生涯の投薬と定期的な血液検査が必須になります。
しかしながら、多くの猫は薬を好んで飲んでくれません。
それでは次の方法として、猫の甲状腺ホルモンを調整するフードの処方(食餌療法)食があります。
甲状腺ホルモンの分泌を調整してくれるフードがある
ヒルズから出ているy/dという処方(食餌療法)食です。
これは、フードなので猫が食べてくれれば定期的に甲状腺ホルモンの血液検査をしなくて済みます。
最もおすすめする甲状腺機能亢進症に対する治療法です。
しかしながら、このフードを食べてくれる猫は当院では少ないですね。
この処方(食餌療法)食のフードを食べているのに症状が改善されなければ、やはり血液検査をして、甲状腺ホルモンの分泌量を検査することになります。
猫の甲状腺亢進症は治療をしないとどうなるの?
猫の甲状腺機能亢進症のほとんどの飼い主の方は、
- 食べたいものを食べさせてあげたい
- 薬を一生飲ませながら、定期的な血液検査をするのは正直しんどい。
- 猫の寿命い任せたい
- とはいっても、最後は苦しまないようにしたい
とおっしゃいますがこれらの声は投薬や処方(食餌療法)食を試した結果、猫の反応を見て出された判断です。
このように飼い主さんの判断に任せて投薬も処方(食餌療法)食も与えなかった結果、一件だけ甲状腺亢進症と診断した猫が3か月後に亡くなってしまった症例があります。
この症例は、腎不全が陰に隠れていたのでは、と考察しました。
猫が腎不全になるとほとんどの症状は食欲が無くなります。
このような症例は確かに何割かの可能性で起こります。
当院の患者さんの声として、猫に投薬や食事制限をさせて延命するよりも少々吐いて痩せてきても好きなものを好きなだけ食べさせてあげたい。
そのため治療せず、猫が元気に生活し猫の寿命に任せたいといわれる方にはその判断にお任せしているのは前述した通りです。
その結果、当院の甲状腺機能亢進症を発症している猫の飼い主さんの多くは治療を断念していますが、猫さんたちは元気に暮らして寿命を全うしています。
まとめ
猫の甲状腺亢進所の症状は、
- 食欲がとても旺盛なのに痩せている
- よく吐く
- 攻撃的
- 胸の辺りの鼓動が速い
などです。
猫の甲状腺亢進症の原因は、
- 甲状腺が腫瘍化して異常にホルモンを分泌してしまう
- 甲状腺刺激ホルモンを分泌命令を出す脳にある下垂体が異常を起こしている
- 免疫系や遺伝子が関与している
などです。
猫の甲状腺亢進症の治療法は、
- 薬の投薬
- 処方(食餌療法)食
- 外科的手術
などがあります。
猫にとってどの治療法がよいかは、飼い主さんの考え方次第です。