猫の腎不全の原因は何?どうして他の動物に比べて猫は腎臓病になりやすいのか

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猫は腎臓病になり易いといわれています。
確かに当院でも猫が食欲が無いといって受診された場合、血液検査をすると腎不全を発症していることが多いです。

どうして、猫は腎不全になり易いのでしょうか?

  • 猫が腎不全になりやすい理由はあるの?
  • 急性腎不全と慢性腎不全の原因は違うの?
  • 急性腎不全と慢性腎不全の予後は違うの?

当記事では、上記の観点から猫の腎不全を考えてみたいと思います。
ぜひ、最後までご一読ください。

猫には腎不全になりやすい原因(理由)がある

猫が腎不全(腎臓病)になり易いのは、「AIM」という遺伝子が先天的に機能していないからなのです。

「AIM」とは腎臓の働きをを改善させる遺伝子のことってご存じですか?

この「AIM遺伝子」は東京大学医学部を卒業され、現在はAIM医学研究所の代表理事・所長を務められている宮崎徹(みやざき とおる)先生が1999年に発見され、現在も「AIM遺伝子」の研究は続けられているようです。

猫の腎不全研究室

「AIM遺伝子」の研究が進んでいくと、猫の寿命がなんと2倍にもなるといわれています。
この研究に期待したいです。

腎臓の働きを改善する遺伝子「AIM」でネコの寿命が2倍に!?

猫の急性腎不全の原因と示す症状

猫の急性腎不全の原因は主に「尿道閉塞」と「中毒」などです。
症状は突然食欲が無くなり、吐き始めます。

「尿道閉塞」とは、膀胱炎の原因である膀胱結石や腫瘍や炎症によってはがれた細胞が尿道に詰まってオシッコを出せなくなる状態です。

メスは尿道が広いので結石や細胞が詰まることはまずありませんが、オスは詰まります。

何度も頻繁にトイレに行って、腰のあたりを触るとギャーと鳴いたり不快な表情を示すのは尿道が閉塞しているサインです。

「中毒」の場合は、沈うつ状態になることが多いこともあればただただ吐きまくることもあり、一言で症状をお伝えすることができません。

とにかくオシッコを確認できなかったり、何かを食べた可能性があって沈うつ状態となり食欲が無く吐い始めたときは、すぐに受診するすることをおすすめします。

猫の慢性腎不全の原因と示す症状

慢性腎不全の原因は大きく分けて2通りあるといえるでしょう。

1つは、もともと膀胱炎や結石など腎臓に関わる治療をしている間に腎臓病が慢性に移行した慢性腎不全。

もう1つは、高齢の猫に多い慢性腎不全。
この慢性腎不全は「2~3日前から食欲がありません」と来院される方がほとんどです。
若い猫では慢性腎不全は稀ですが、7歳以上(シニア世代)の猫で多く見られます。

オシッコの回数が減って色が濃くなったり、逆にオシッコの回数や量が増えて水のように薄いという症状も腎不全のサインです。

食欲とオシッコの状態に異常を感じたら早めの受診をおすすめします。

猫の腎不全は原因によっては治る

急性腎不全のように原因がわかっている場合は、その原因をすばやく解除すれば多くの症例で腎不全は治ることがほとんどです。

しかしながら、慢性腎不全のようになんとなく「最近食欲が減ってきている気がする…歳のせいなのかな?全く食べないわけではないんだよな」と様子を見てしまうことによって、予後不良になってしまいます。

腎臓は再生能力がない臓器です。急性腎不全のように原因を即解除しなければほとんどの慢性腎不全は予後不良です。

 

まとめ

猫の急性腎不全には、尿道閉塞や中毒といった原因が突き止めやすいため予後が良好な(治る)ことが多いです。

一方、猫の慢性腎不全は原因が突き止めにくく、気が付いたときにはすでに長期間腎臓病を患ってしまっていたため治ることはまずありません(予後不良)。

猫が腎不全(腎臓病)になってしまう原因は、「AIM遺伝子」が大きく関連してることを東大の宮崎先生が発見されました。

現在もAIM医学研究所では「AIM遺伝子」の研究が進められており、猫の寿命が今の2倍になると期待されています。